8月28日-9月3日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比25,940円(0.68%)安の3,804,849円とほぼ変わらずだった。
**要点**
* BTCは週足ベースではほぼ横ばいだった。
* 29日に米D.C.控訴裁判所が現物ビットコインETF承認を支持したことで上昇したが、31日に上げ幅を消失した。
* その後は、SECによる現物ビットコインETFの承認判断延期や米IT株の軟化が相場の重石となった。
**解説**
* 29日に米D.C.控訴裁判所が現物ビットコインETF承認を支持したことで、現物ビットコインETFの承認への期待感が再浮上した。
* 現物ビットコインETFとは、ビットコインそのものを裏付け資産とするETFのこと。現物ビットコインETFの承認が実現すれば、ビットコインの投資しやすさが増し、相場の上昇を後押しすると考えられる。
* 7月の米JOLTs求人件数の下振れなども相場の支援となり、BTCは一時410万円にワンタッチした。
* JOLTs求人件数とは、米国の非農業部門の職務開口数を計測する指標。求人件数が減少すると、労働市場の逼迫が緩和していることを示唆し、金利の上昇を抑制する効果がある。
* 一方、ドル建てで28,000ドルとなる同水準周辺で相場は伸び悩むと、短期の利食いが入り反落。すると、ロングの投げが入り、31日には上げ幅を完全に掻き消した。
* BTCは、ドル建てで28,000ドルを超えると売りが強まる傾向にある。
* SECによる複数現物ビットコインETFの承認判断延期、まちまちとなった米経済指標に米IT株の軟化が相場の重石となった。
* 米IT株は、ビットコインと相関性が高いと言われており、米IT株の軟化はビットコインにも悪影響を及ぼす。
**今後の展望**
* 現物ビットコインETFの承認可否を巡り相場が振り回された1週間だったが、結局は方向感を示すことに失敗した。
* 手掛かりに乏しかったジャクソンホール会議を市場が消化する中、先週は米労働市場の逼迫緩和を示すデータも散見されるようになり、米金利やドルの上昇余地は今週も限定されよう。
* また、ジャクソンホール会議以降でシカゴ・オプション取引所(Cboe)のボラティリティ指数(VIX)が低下基調となっており、全体的な市場のリスク選好度は萎縮した状態から改善に向かっていると言える。
* ただし、今週は経済指標の面では目星い材料に乏しい1週間とも言え、BTCは引き続き底堅くも上値の重い展開が続こう。
* 週央6日には全米供給管理協会(ISM)の8月サービス業動向レポート、7日には中国の8月貿易収支の発表を控えているが、市場としては13日に発表される8月の米消費者物価指数(CPI)への注目度の方が大きいか。
* 19日〜20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えており、利上げ停止や利下げのタイミングに関して手掛かりを探る状態は今週にかけても変わらないだろう。
* 他方、テクニカルの側面では、BTCの相対力指数(RSI)が徐々に回復して「売られ過ぎ」水準とされる30%を回復している。
* ただ、相場の下降トレンドに対してRSIが上昇するダイバージェンスが起きているということは、相場トレンドに変化が出るサインとも言え、不意なアップサイドへの動きにも注意しておきたい。
**ダイバージェンスとは**
ダイバージェンスとは、テクニカル分析の用語で、相場のトレンドとテクニカル指標のトレンドに乖離が生じることを指します。ダイバージェンスが発生すると、相場トレンドが転換する可能性が高いと考えられ、トレンド反転の予兆として用いられます。
ダイバージェンスには、以下の2種類があります。
ブルish ダイバージェンス:相場が下落トレンドにあるにもかかわらず、テクニカル指標が下落を止めて上昇に転じる現象
ベアish ダイバージェンス:相場が上昇トレンドにあるにもかかわらず、テクニカル指標が上昇を止めて下落に転じる現象
ダイバージェンスは、相場トレンドが転換する可能性が高いと考えられるため、トレンド反転の予兆として用いられます。しかし、ダイバージェンスが発生したからといって、必ずしもトレンドが転換するわけではありません。あくまでも、トレンド反転の可能性が高いというシグナルとして解釈することが重要です。
ダイバージェンスは、他のテクニカル指標と組み合わせて用いることで、より精度の高いトレンド分析を行うことができます。