2024年2月4日
グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)とビットコインETFの動向についての考察
考察
- GBTCからの資金流出と市場の動向
- GBTCがビットコイン現物ETFに転換されたことに伴い、約43億ドル(約6400億円)の資金流出が発生。
- この流出とビットコイン価格の動向には密接な関係があり、ETF承認後の一時的な価格上昇に続き、BTC価格は20%ほど下落した。
- 初めはGBTCが世界最大のビットコイン・ファンドとして286億ドルの運用資産を誇っていたが、仮想通貨取引所の破綻に伴い大規模な資産売却が行われ、市場に影響を与えた。
- GBTCのディスカウントからの脱却と流出の背景
- GBTCは長らくネガティブプレミアムで取引されていたが、ETFへの転換によりディスカウントがゼロに近づき、多くの事業体がGBTCからの撤退を選択した。
- 2023年2月13日には-47.35%のディスカウントで取引されており、このディスカウントは徐々に縮小し、1月26日にはゼロに達した。
- ビットコインETF市場の動向
- 10銘柄のビットコイン現物ETFが市場に登場し、ビットコイン・トラストETF(GBTC)を除くと、ビットコインETFへの純流入額は52億ドルで、19,000 BTCの流入超過が記録された。
- 特にブラックロックのiシェアーズビットコイン・トラスト(IBIT)が19.2億ドルの最大の純流入を達成。
その他の考慮点
- 手数料競争の激化
- ビットコインETF市場では手数料競争が激化しており、GBTCが1.5%の手数料を維持している一方で、競合他社は0.2%から0.9%という低い手数料設定で市場に参入。
- 高い手数料が投資家による低コストのビットコインETFへの移行を促進した。
- ビットコインETFの所有率と市場の安定化
- ビットコインETFの高い所有率(現在ビットコインの流通量の3.23%)は、ビットコインが調整されても、伝統的な金融投資家からの支持を反映している。
- これにより、市場の波は徐々に静まりつつあり、安定感が増している。
全体的な見通し
- GBTCからの資金流出による市場への影響が鈍化し、ビットコインETF市場は安定を取り戻している。
- ビットコインETFの所有率の高さは、仮想通貨市場が徐々に伝統的な金融投資家に受け入れられている兆候と言える。
- 手数料の低下や新たなビットコインETFの登場により、市場はますます競争的な状況になっている。
用語解説:初心者向け
- ビットコイン現物ETF(上場投資信託): ビットコインを実際の取引所で購入し、その資産をバックにした投資信託。株式市場で取引可能で、ビットコイン価格の変動に連動する。
- ネガティブプレミアム: 株式や投資信託が実質的な資産価値よりも低い価格で取引される状態。GBTCがディスカウントで取引されていた状態を指す。
- ディスカウント: 投資信託の市場価格がその実質的な資産価値よりも低い場合の差額。これがゼロになると、実質的な資産価値と市場価格が一致することを示す。
- 手数料競争: ETFが市場で競い合いながら、取引手数料を低減させる競争。低い手数料は投資家にとって魅力的で、資金の流れを引き寄せる。
- 伝統的な金融投資家: 通常の株式や債券市場に参加する投資家。仮想通貨市場においても重要な影響力を持つグループ。